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2009-06-07

涙の、、、(PART5)

実は、K様は以前に家づくりのご相談を行っていらっしゃったみたいでございました。

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弊社にお越しになられる方々が、必ずしも弊社のみで考えてお越しになられるのではございませんでして。

ハウスメーカーさんに取り敢えず行かれたという方や、他の設計事務所さんに行かれたとか仰られる方もいらっしゃいます。

まあ、ずーっと弊社にターゲットを絞っていらっしゃって、機が熟したら山川設計に行こうと決めていらした方が多いのも誠にありがたいお話で大半を占めてございますが。

それで、K様の初回面談の際にわたくしは設計事務所さんでお打合せされていらっしゃった旨を伺いましたのですが、、、

実は、その設計者の方がK様のお兄様でいらっしゃったことも伺いました。

「ああ、そうでございますか、お兄様が設計をなさっていらっしゃったんですかー」

とわたくしは鸚鵡返しに応えたものでございます。

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この業界では、結構近親者に建築関係者がおりますことは良い様で、実は芳しくないことは定説になっておりまして。

結局、言いたいことが思うように言えなくなったり、ストレスが溜まってしまって良い家づくりが出来なくなってしまう、という風なことが多いんですね。

ですから、わたくしはすぐにピーンと来まして、内心では「きっと上手く行かなくなって頓挫してしまったんだなー」ぐらいに理解して口には出さずにおりました。

ところが、K様の方から話し始められた結論が意外なことだったので驚きました。

「兄は設計の途中で亡くなりました」

辛そうな表情でそのように告げられまして、わたくしは何と申し上げたら良いのか言葉を捜しておりました。

しかし、詳しくは伺わない方が良いと考えてそこから先は控えておりました。

「その後、土地も放ったらかしにしておきまして、、、」

「ああ、そうでございますか、、、」

「最近になって、ようやくまた家をつくることを考えて」

弊社のことを気になさり、お会いするようなことになった次第だったのだそうです。

そのお話を涙に濡れたハンケチで目頭を押さえながら、また山川に話されているK様を拝見させていただくのは辛いことでございました。

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詳しくは伺わなかったものの、こちらにお越しになられるまでの葛藤や逡巡には、きっと深い谷や山があったことに違いはございません。人生の節目には様々な事象が横たわって、ひとの滋養に喚起してはこころに起伏を与えるものなのでございましょうが、ひととして生きて行くことの中で、その瞳に隠された深い真実に声を聞こうとすることや、滋味として内服しておくことも人生そのものの辿るべき山の道に違いありません。

前回そうした事情を伺っておりましたものですから、山川がお父様の話をし始めて、段々に悲しい雰囲気になり、話の方向が家にまつわる家族の悲しい感情に向かって進んで行くのを傍らで「まずいな、、、」と思いつつ、何の言葉も差し挟むことも出来ずにおりましたら、河川が決壊して洪水が侵入して水浸しになってしまったた家屋のように、K様のこころにも悲しみがあっという間に侵食してしまい涙が止まらなくなってしまわれたのです。

「わたし、、、」

「兄が、、、」

泣く泣くに語られた事実を聞くに及んで山川にも事情がつかめたみたいで。

「ああ、女性を泣かせてしまって、ダメじゃないですか、、、」

と山川はわたくしに申しておりましたが。。。

憧れの山川に会って、まさかこのような展開になるなんてK様もきっと夢にも思っていらっしゃらなかったことでしょう。

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「家づくり大変ですかー、、、」

は含むところが多い言葉の発したところが、、、(了)

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